就労継続支援A型・B型の業界ベンチマーク比較表|経営指標の業界平均データ【2026年版】
開業6ヶ月を過ぎ、就労継続支援A型・B型事業所の本格的な経営改善と成長を目指す皆様へ。本ガイドは、貴事業所の現状を客観的に評価し、次の成長ステップを見出すための業界ベンチマークデータを提供します。特に「どう伸ばすか、どう改善するか」に焦点を当て、就労継続支援A型・B型ならではの経営課題解決に役立つ具体的な指標を厳選しました。地域における競争力強化、利用者さんの安定的な確保、そして持続可能な事業運営のために、ぜひこの比較表をご活用ください。
業界概況
就労継続支援A型・B型事業所は、障害者総合支援法に基づく重要なサービスであり、全国的にその数が増加傾向にあります。報酬改定は3年ごとに事業所の経営に大きな影響を与え、常に変化への対応が求められます。特にA型事業所は最低賃金保障、B型事業所は工賃向上と安定した作業確保が永続的な課題です。利用者確保のための相談支援事業所との連携強化、職員の専門性向上、そして高付加価値な作業内容の提供が、今後の持続的成長の鍵となります。
利用者稼働率
効率系定員に対する利用者さんの平均稼働割合。障害福祉サービス報酬の算定に直結する最重要指標です。
90%を下回る場合、利用者確保に向けた相談支援事業所との連携強化や、個別支援計画の見直しによるサービス魅力度向上が急務です。
平均工賃(B型)
売上系就労継続支援B型事業所における利用者さん一人あたりの月額平均工賃。利用者獲得における事業所の魅力度を示す指標です。
2万円未満の場合、作業内容の多様化、高単価な作業案件の確保、またはオリジナル商品の開発による工賃向上策を検討すべきです。
利用者賃金率(A型)
コスト系就労継続支援A型事業所の総収益に対する利用者さんへの賃金支払いの割合。最低賃金保障と事業所経営のバランスを示す指標です。
40%以上を維持しつつ、事業所の収益性も確保できるよう、利用者の生産性向上や作業効率化、高付加価値作業の獲得が不可欠です。
一般就労移行率
顧客系年間利用者数のうち、一般企業への就職に繋がった利用者の割合。事業所の就労支援効果を示す重要な成果指標です。
A型で30%、B型で10%を下回る場合、職業訓練内容や就職支援のプロセスを再評価し、企業開拓や相談支援事業所との連携を強化すべきです。
職員人件費率(管理者・職員分)
コスト系総売上に対するサービス管理責任者、職業指導員、生活支援員などの職員人件費の割合。事業所のコスト構造を把握します。
40%を超える場合、職員配置の適正化やICT活用(例:カイポケ)による業務効率化、多機能化による報酬加算の検討が求められます。
営業利益率
売上系売上高に対する営業利益の割合。事業所の総合的な収益力を示す、経営の健全性を測る指標です。
5%未満の場合、抜本的なコスト構造の見直しや売上向上策、例えば新規事業展開や高単価作業の獲得が急務です。
相談支援事業所連携数
顧客系定期的に連携している相談支援事業所の数。利用者紹介は、安定的な利用者確保の生命線です。
20を下回る場合、地域連携不足が深刻。定期的な事業所訪問や情報提供、合同説明会の開催などで関係性を強化すべきです。
作業受託件数(月間)
効率系月間の新規・継続作業受託件数。利用者への安定した作業提供、工賃・賃金確保の基盤となります。
5件未満の場合、営業活動の強化や地域企業へのアプローチ、オリジナル商品開発による作業確保策を検討すべきです。
サービス管理責任者研修修了率
効率系配置されているサービス管理責任者全員の研修修了割合。法令遵守と質の高い個別支援計画策定に必須です。
100%未満は法令遵守上のリスク。速やかな研修受講と資格更新が必須であり、行政指導の対象にもなり得ます。
利用者満足度
顧客系定期的なアンケート調査による利用者さんのサービス満足度。継続利用やポジティブな口コミに繋がる重要な指標です。
80%を下回る場合、個別支援計画の見直し、支援員のスキルアップ研修、利用者さんの声を吸い上げる仕組みの強化が必要です。
職員定着率
コスト系年間の職員離職率。職員の定着は、支援の質の安定、採用コストの抑制、ひいては利用者さんの安心感に繋がります。
80%を下回る場合、職場環境や待遇、研修制度の見直しを検討。サービス管理責任者や職業指導員の離職は経営に大きな打撃となります。
提供作業の多角化度
効率系提供している作業の種類数。特定の作業に依存しないリスク分散と、多様な利用者ニーズへの対応力を示します。
3種類以下の場合、作業内容のマンネリ化や特定取引先への依存リスクが高いです。新規開拓やオリジナル商品の開発を急務とすべきです。
成功パターン
- 高付加価値作業の獲得と多角化: 企業との提携による専門作業の受託や、地域資源を活用したオリジナル商品の開発で、工賃・賃金水準を向上させている。
- 個別支援計画の質向上と細やかなフォロー: 利用者一人ひとりの特性と目標に合わせたオーダーメイドの支援計画を策定し、きめ細やかな職業指導・生活支援で一般就労移行実績を伸ばしている。
- 地域内の相談支援事業所との強固な連携: 定期的な情報交換会や共同でのイベント開催を通じて、安定的な利用者紹介に繋がる信頼関係を構築している。
- サービス管理責任者・職業指導員の専門性強化と継続研修: 最新の障害特性や就労支援技術に関する研修を定期的に実施し、職員全体の支援スキル向上に投資している。
- 積極的なICT導入による業務効率化: 障害福祉ソフト(例: カイポケ、ワイズマン)を最大限活用し、記録作成や請求業務の負担を軽減。支援業務に注力できる環境を整備している。
よくある落とし穴
- 特定の作業請負先に依存し、経営リスクを増大させている: 一社からの請負が途絶えると、利用者さんの作業提供や工賃・賃金支払いに大きな影響が出る。
- 個別支援計画が形骸化し、利用者さんのスキルアップに繋がっていない: マニュアル通りの支援に終始し、個々のニーズに応えられていないため、利用者の定着や就労移行が進まない。
- 相談支援事業所への営業活動が不足し、利用者募集に苦戦している: 自事業所の魅力を十分に伝えられず、新規利用者紹介が伸び悩む。
- 職員のスキルアップ機会が少なく、支援の質が停滞している: サービス管理責任者や職業指導員の専門性が向上せず、利用者への効果的な支援が提供できていない。
- 障害福祉サービス報酬改定への対応が遅れ、加算取得を逃している: 制度改正の情報を早期にキャッチアップできず、取得可能な加算を見過ごし、収益機会を失っている。
データソース
厚生労働省統計、独立行政法人福祉医療機構(WAMネット)データ、NPO法人日本障害者協議会調査、および当社(経営コンサルタント)が保有する複数事業所の実績データに基づき、2026年版として算出。