経営改善ガイド

保育園・託児所の業界ベンチマーク比較表|経営指標の業界平均データ【2026年版】

開業半年を迎え、日々の運営に追われている中で、「このままで良いのか?」と感じていませんか?本ガイドでは、保育園・託児所の経営者が事業を次のステージへと発展させるために不可欠な業界ベンチマークデータを提供します。自園の現状を客観的に把握し、強みと弱みを特定することで、具体的な改善策を導き出す手助けとなるでしょう。競合との比較だけでなく、上位園の成功パターンから学び、持続可能な成長を目指しましょう。

業界概況

待機児童問題の解消は進むものの、保育業界は依然として人手不足、特に保育士の採用難と高い離職率という深刻な課題を抱えています。また、認可外施設においては、保護者からの信頼獲得と質の高い保育提供の両立が経営の生命線となります。ICT導入による業務効率化や、特色ある保育カリキュラムの提供、そして何よりも安全管理の徹底が、持続的な成長に向けた鍵となります。

園児稼働率

売上系

定員に対する実際の在籍園児数の割合。収益の根幹をなす指標であり、目標は95%以上です。

下位 85
中央値 92
上位 98
%

稼働率が低い場合、周辺地域の待機児童状況を再調査し、園の特色を明確にした集客戦略(SNS活用、地域イベント参加、入園説明会の頻度増加)を検討しましょう。ホイシルなどの園児募集サイト活用も有効です。

保育士定着率

効率系

年間で離職せずに定着した保育士の割合。安定した保育サービスの提供と採用コスト抑制に直結し、目標は70%以上です。

下位 80
中央値 85
上位 90
%

定着率が低い場合、ICT導入(コドモン、ルクミー)による業務効率化で残業削減、休憩時間の確保、有給取得推進、キャリアパスの明確化、定期的な面談で不満の早期発見・改善が不可欠です。

人件費率

コスト系

売上に対する人件費の割合(保育士、調理員、事務員、園長)。経営の健全性を示す最重要コスト指標です。

下位 60
中央値 65
上位 75
%

人件費率が高い場合、保育士の配置基準を見直しつつ、事務作業や保護者連絡のデジタル化(コドモン、ルクミー)で効率化を図り、間接業務に要する時間を削減しましょう。シフト最適化も検討が必要です。

食材料費率

コスト系

売上に対する給食の食材料費の割合。コスト管理の重要な要素です。

下位 5
中央値 8
上位 10
%

食材料費率が高い場合、食材の仕入れ先見直し、給食委託サービスの導入検討、発注量の最適化、献立の工夫(旬の食材活用)などでコスト削減を図りましょう。

営業利益率

売上系

売上から売上原価と販売費及び一般管理費を差し引いた利益の割合。事業の収益性を示します。

下位 3
中央値 6
上位 10
%

営業利益率が低い場合、売上向上策(延長保育拡充、一時預かりの積極展開)とコスト削減策(人件費、食材料費、消耗品費の見直し)の両面から改善が必要です。

新規入園児数

顧客系

月間の新規入園児数。園児確保の活動成果を示し、目標は月間3名以上です。

下位 1
中央値 2
上位 3
名/月

新規入園児数が目標に届かない場合、園の魅力発信(SNS、ウェブサイト、地域広報誌)、保護者からの口コミ促進、体験入園や見学ツアーの実施、自治体や地域の専門サイトへの登録強化を検討しましょう。

保護者満足度 (NPS)

顧客系

保護者が園を他者に推奨する意向を数値化したもの。-100〜+100で評価し、目標は+30以上です。

下位 10
中央値 30
上位 50

NPSスコアが低い場合、保護者アンケートを定期的に実施し、改善点を吸い上げましょう。個別の相談機会の増加、連絡帳アプリ(コドモン、ルクミー)を通じた密なコミュニケーション、保護者会での意見交換も有効です。

延長保育利用率

売上系

延長保育サービスを利用する園児の割合。付加価値サービスによる収益機会を示し、目標は20%以上です。

下位 15
中央値 20
上位 30
%

利用率が低い場合、保護者のニーズ調査(特に共働き世帯)を行い、延長保育の時間帯や料金体系を見直しましょう。突発的な利用にも対応できる柔軟なサービス提供も検討し、積極的に広報することが重要です。

園児一人当たり保育士配置数 (法令基準比)

効率系

法令で定められた保育士配置基準に対し、どれだけ手厚く配置しているか。保育の質に直結し、法令基準より手厚くすることが目標です。

下位 1
中央値 1.1
上位 1.2

配置が手薄な場合、保育士の負担増大、保育の質の低下、安全リスクにつながります。採用活動(保育士バンク、マイナビ保育士)を強化し、業務効率化で現場の負担を軽減しつつ、長期的な視点で人員確保に努めましょう。

消耗品費率

コスト系

売上に対する保育用品、教材、衛生用品などの消耗品費の割合です。

下位 2
中央値 3
上位 4
%

消耗品費率が高い場合、業者との単価交渉、共同購入、再利用可能な教材への切り替え、職員への節約意識の徹底などが有効です。

研修費比率

効率系

売上に対する保育士研修やスキルアップにかかる費用の割合です。

下位 0.5
中央値 1
上位 1.5
%

研修費比率が低いと保育士のスキルアップやモチベーション維持が困難になります。外部研修への参加支援、園内研修の充実、オンライン学習プログラムの導入などを積極的に行い、質の高い保育を提供できる体制を整えましょう。

ICTシステム利用満足度

効率系

導入しているICTシステム(コドモン、ルクミー等)に対する職員の満足度(5段階評価)です。

下位 3
中央値 3.8
上位 4.5

満足度が低い場合、システムの機能が十分に活用されていないか、職員への研修が不足している可能性があります。ベンダーサポートの活用、定期的な職員ヒアリング、運用見直しで業務負担軽減に繋がる活用法を追求しましょう。

成功パターン

  • 「働きがい」を重視した保育士の定着戦略: ICT導入による業務効率化(コドモン、ルクミー活用)に加え、キャリアパスの明確化、定期的な研修制度の充実、メンター制度導入により、職員のモチベーションと定着率を高く維持しています。
  • 地域に根差した独自のブランド確立: 園の教育方針や特色(モンテッソーリ、リトミック等)を明確に打ち出し、SNSや地域イベントで積極的に情報発信。保護者からの口コミと信頼を勝ち取り、高い園児稼働率を実現しています。
  • ICTを最大限活用した効率的な園運営: 連絡帳、登降園管理、請求業務などをコドモンやルクミーで一元化。職員の事務作業負担を軽減し、保育に集中できる環境を整備。これにより、保育士の満足度と保護者への情報提供スピードを向上させています。
  • 手厚い安全管理と緊急時対応の徹底: 定期的な避難訓練、ヒヤリハット事例の共有と改善、緊急連絡網の確立、AED設置など、最高水準の安全体制を構築。保護者説明会で具体的に示すことで安心感を提供し、信頼を得ています。

よくある落とし穴

  • 保育士の採用難と離職率の高さを見過ごす: 目の前の業務に追われ、保育士の業務負担軽減や待遇改善を後回しにした結果、慢性的な人手不足に陥り、保育の質が低下。悪循環に陥るケースが見受けられます。
  • 園の特色や強みが不明確なまま集客を行う: 待機児童が減少傾向にある地域では、他園との差別化ができず、園児募集に苦戦します。特に認可外施設では、保護者からの「選ばれる理由」が明確でないと、稼働率が上がらない状況に陥ります。
  • ICT導入はしたが、活用しきれていない: 高額な保育園運営ソフトを導入しても、職員への研修不足やマニュアル整備の不十分さから、一部の機能しか使われず、業務効率化に繋がらない。結果的にコストだけがかさむ失敗例があります。
  • 安全管理体制の不備と保護者への説明不足: 事故発生時の対応が不明確であったり、日頃からの安全対策が不十分であったりすると、保護者からの信頼を一気に失い、園児の退園や評判悪化に直結する経営上の致命傷となります。

データソース

弊社スモールビジネス経営コンサルティング事業部調べ、厚生労働省「保育所等関連状況取りまとめ」2025年度版、全国保育協議会調査レポート、主要保育園運営ソフト利用状況データ(2025年実績より推計)