経営改善ガイド

運送業のKPIダッシュボード|業界平均と比較できるテンプレート【2026年版】

開業6ヶ月を過ぎ、本格的な経営改善を目指す運送事業主の皆様へ。ドライバー不足、燃料費高騰、そして2024年問題といった喫緊の課題を乗り越え、持続可能な成長を実現するためには、客観的な数値に基づいた経営判断が不可欠です。このKPIダッシュボードは、運送業に特化した重要な指標を業界平均と比較しながら、貴社の課題特定と具体的な改善アクションの実行を支援します。データを活用し、「どう伸ばすか・どう改善するか」の視点で事業の次なる成長段階へと進みましょう。

使い方

  1. ステップ1: 毎日のデジタコ、TMS(タコドラ、Cariot等)、WMS(ロジザードZERO等)からのデータを正確に収集し、ダッシュボードへ入力します。入力は「日次」「週次」「月次」で頻度を分け、自動化できる部分は積極的にシステム連携を進めましょう。
  2. ステップ2: 各KPIについて、自社の実績値を業界平均値や目標値と比較し、乖離の大きい項目を特定します。特に「実車率」「積載率」「燃料費率」「ドライバー1人当たり月間売上」は重点的に確認してください。
  3. ステップ3: 特定された課題KPIに対して、具体的な改善策を策定します。例えば、「実車率」が低い場合は配車計画の見直しや共同輸送の検討、「燃料費率」が高い場合は省燃費運転指導や車両EV化検討など、具体的なアクションプランに落とし込みます。
  4. ステップ4: 策定した改善策を実行し、その効果を継続的にモニタリングします。PDCAサイクルを回し、改善策が期待通りの効果を上げているかを確認し、必要に応じてプランを修正していきます。
  5. ステップ5: 月に一度、経営会議でダッシュボード全体をレビューし、課題と成果を全社で共有します。特に2024年問題対応として「時間外労働時間」や「荷待ち時間」は、ドライバーの働き方改革と収益確保の両面から深く議論することが重要です。

実車率

重要度:

輸送効率改善

総走行距離に対して、荷物を積んで走行した距離の割合。車両の稼働効率を示す。

業界平均
70〜80%
目標値
80%以上
%
算出方法: (実車走行距離 ÷ 総走行距離) × 100測定頻度: 週次

積載率

重要度:

輸送効率改善

車両の最大積載量に対して、実際に積載された荷物の重量または容積の割合。輸送容量の活用度を示す。

業界平均
75〜85%
目標値
85%以上
%
算出方法: (実積載量 ÷ 最大積載量) × 100測定頻度: 週次

燃料費率

重要度:

コスト最適化

売上高に占める燃料費の割合。燃料費高騰の影響を直接的に示す。

業界平均
25〜35%
目標値
20%台前半
%
算出方法: (燃料費 ÷ 売上高) × 100測定頻度: 月次

ドライバー1人当たり月間売上

重要度:

労働生産性向上

ドライバー1人が月にどれだけの売上を上げているかを示す指標。労働生産性の目安となる。

業界平均
70万〜80万円
目標値
80万円以上
算出方法: (月間総売上 ÷ ドライバー数)測定頻度: 月次

荷待ち時間(平均)

重要度:

オペレーション効率化

荷主先での荷積み・荷降ろしにかかる待機時間の平均。ドライバーの労働時間管理と効率に直結する。

業界平均
30〜60分
目標値
30分以内
算出方法: 荷待ち時間合計 ÷ 運行回数測定頻度: 日次

事故発生率

重要度:

安全運行管理

総運行回数に対する事故発生件数の割合。安全運行管理の状況を示す。

業界平均
0.8〜1.5%
目標値
0.5%以下
%
算出方法: (事故発生件数 ÷ 総運行回数) × 100測定頻度: 月次

時間外労働時間(ドライバー1人当たり月間平均)

重要度:

2024年問題対策

2024年問題に対応するため、ドライバー1人あたりの時間外労働時間を厳密に管理する。

業界平均
40〜60時間
目標値
法定上限(45時間)以内
時間
算出方法: ドライバーの時間外労働時間合計 ÷ ドライバー数測定頻度: 月次

車両稼働率

重要度:

資産活用

保有車両数に対して、実際に稼働している車両の割合。資産の活用度を示す。

業界平均
85〜95%
目標値
90%以上
%
算出方法: (稼働車両台数 ÷ 保有車両台数) × 100測定頻度: 日次

空車回送率

重要度:

コスト最適化

総走行距離に対して、荷物を積まずに回送した距離の割合。無駄なコストを示す。

業界平均
20〜30%
目標値
15%以下
%
算出方法: (空車回送距離 ÷ 総走行距離) × 100測定頻度: 週次

新人ドライバー定着率(6ヶ月以内)

重要度:

ドライバー採用・定着

採用した新人ドライバーが6ヶ月後も在籍している割合。採用コストと育成投資の効率を示す。

業界平均
50〜60%
目標値
70%以上
%
算出方法: (6ヶ月後在籍新人ドライバー数 ÷ 採用新人ドライバー数) × 100測定頻度: 月次

デジタコ違反点数(平均)

重要度:

安全運転推進

デジタルタコグラフで記録される速度超過、急加速/減速などの違反点数のドライバー別平均。安全運転指導の改善に役立つ。

業界平均
各システムによる
目標値
システム基準値を20%削減
算出方法: デジタコ違反点数合計 ÷ ドライバー数測定頻度: 週次

メンテナンスコスト率

重要度:

コスト最適化

売上高に占める車両の修理・メンテナンス費用の割合。整備管理の適正さを示す。

業界平均
3〜7%
目標値
5%以下
%
算出方法: (メンテナンス費用 ÷ 売上高) × 100測定頻度: 月次

燃料サーチャージ適用率

重要度:

収益性向上

荷主との契約において、燃料サーチャージが適用されている運送契約の割合。燃料費高騰対策の進捗を示す。

業界平均
20〜40%
目標値
50%以上
%
算出方法: (燃料サーチャージ適用運送売上 ÷ 総運送売上) × 100測定頻度: 月次

荷主からのクレーム発生率

重要度:

顧客満足度向上

総運行回数に対する荷主からのクレーム件数の割合。サービス品質と顧客満足度を示す。

業界平均
0.1〜0.3%
目標値
0.1%以下
%
算出方法: (クレーム件数 ÷ 総運行回数) × 100測定頻度: 月次

平均運賃単価(トンキロあたり)

重要度:

収益性向上

運送距離と積載重量を考慮した運賃の適正性を示す指標。運賃交渉の根拠にもなる。

業界平均
各社の契約による
目標値
市場平均+5%を交渉
円/トンキロ
算出方法: 総運賃収入 ÷ (輸送トン数 × 輸送距離)測定頻度: 月次

運行管理者1人当たり車両台数

重要度:

法令順守・管理体制

運行管理者1人が担当する車両台数。適切な管理体制が構築されているかを示す。

業界平均
20〜40台
目標値
20台以内
算出方法: 保有車両台数 ÷ 運行管理者数測定頻度: 月次

危険信号

実車率: 70%を下回る

配車計画を緊急で見直し、空車回送を減らすルート最適化を徹底。共同輸送サービスの活用や新規荷主開拓による貨物確保を加速させる。

燃料費率: 30%を超える

ドライバーへのエコドライブ徹底指導、高性能な燃料カード(ENEOSカード、出光カード等)導入によるコスト削減。荷主との燃料サーチャージ導入交渉を再強化する。

ドライバー1人当たり月間売上: 70万円を下回る

運行ルートや荷主構成を見直し、高効率・高単価の案件へのシフトを検討。ドライバーのスキルアップ研修や資格取得支援で、扱える貨物の種類を増やす。

荷待ち時間(平均): 45分を超える

荷主に対し、荷積み・荷降ろし時間の短縮を要請。TMSを活用した到着時刻の事前通知や、複数便の連携による効率化を図る。

時間外労働時間(ドライバー1人当たり月間平均): 法定上限(45時間)に迫るドライバーが複数いる

早急に配車計画を再編し、特定のドライバーへの負担集中を解消。荷主との運賃交渉で、待機時間や荷役作業の料金設定を見直す。必要であれば、新規ドライバー採用計画を前倒しする。

新人ドライバー定着率(6ヶ月以内): 60%を下回る

新人研修プログラムの内容を見直し、メンター制度導入や相談窓口の設置など、定着支援策を強化する。労働環境改善(休憩施設の整備、DX推進による事務作業軽減)も検討する。

事故発生率: 0.5%を超える

ドライブレコーダー映像分析に基づく個別指導を強化。安全運転講習の頻度を増やし、危険予知トレーニングを導入する。車両の定期点検整備状況も再確認する。

データソース

当社の業界データは、国土交通省の「自動車運送事業経営指標」、業界団体の公開資料、および複数の中小運送事業者へのコンサルティング実績データに基づいています。2026年版として、2024年問題の影響を加味した予測値も一部含んでいます。