経営改善ガイド

税理士事務所のKPIダッシュボード|業界平均と比較できるテンプレート【2026年版】

開業6ヶ月を過ぎ、事業の基礎が固まってきた税理士事務所の経営者の皆様へ。本ダッシュボードは、単なる業務遂行に留まらず、事務所を「どう伸ばすか、どう改善するか」に焦点を当てた経営改善ガイドです。激化する価格競争やAI化の波に対応するためには、具体的な数値目標に基づいた経営判断が不可欠となります。本テンプレートを活用し、貴事務所の現状を客観的に把握し、成長戦略を描くための一助としてください。

使い方

  1. ステップ1: 現状把握と目標設定 - 上記KPIに対して、貴事務所の過去3ヶ月〜1年間の平均値を算出し、業界平均と比較。そこから具体的な目標値を設定し、ダッシュボードに反映させます。
  2. ステップ2: 定期的なモニタリング - 毎月または四半期ごとにKPIを更新し、目標達成状況を追跡します。特に繁忙期と閑散期で変動しやすいため、時期による傾向も把握しましょう。
  3. ステップ3: 課題の特定と深掘り - 目標値に未達のKPIを特定し、その原因を深掘りします。「なぜ目標に届かないのか?」を顧問先獲得チャネル、サービス提供プロセス、価格設定などの視点から分析します。
  4. ステップ4: 改善策の立案と実行 - 特定された課題に対し、具体的な改善策(例: Web集客強化、ITツール導入による記帳代行効率化、高付加価値サービス開発)を立案し、実行計画を策定します。
  5. ステップ5: 効果測定とPDCAサイクル - 実行した改善策の効果を再度KPIで測定し、結果に基づいてさらなる改善を行います。このPDCAサイクルを継続的に回すことで、事務所経営を強化します。

一人あたり顧問先数

重要度:

売上向上

月次顧問契約を結んでいる法人・個人事業主の総数。安定的な事務所経営の基盤となる最も重要なKPIです。開業初期段階を終え、更なる成長を目指す上で、効率的な顧客獲得戦略が求められます。

業界平均
30〜40社/人
目標値
50社/人
社/人
算出方法: 当月の有効顧問先数合計 ÷ 当月平均人員数測定頻度: 月次

月額顧問料単価

重要度:

売上向上

顧問先1社あたりの平均月額顧問料。記帳代行を主とした低単価業務から、経営コンサルティングや事業承継税務などの高付加価値業務へのシフトにより、単価向上が可能です。

業界平均
20,000〜50,000円
目標値
30,000円以上
算出方法: 当月顧問料収入合計 ÷ 当月顧問先数測定頻度: 月次

記帳代行業務比率

重要度:

オペレーション改善

事務所の総売上における記帳代行業務が占める割合。AI会計ソフトの普及により、この比率が高いと価格競争に巻き込まれやすいため、高付加価値業務へシフトし、比率を低減させることが推奨されます。

業界平均
20〜30%
目標値
20%以下
%
算出方法: (記帳代行収入合計 ÷ 総売上)× 100測定頻度: 月次

新規顧問先獲得単価(CAC)

重要度:

売上向上

新規の顧問先1社を獲得するためにかかった総費用。Webマーケティングや紹介制度など、多様なチャネルの効果測定と最適化により、費用対効果の高い獲得を目指します。

業界平均
顧問料3〜6ヶ月分
目標値
顧問料3ヶ月分以下
算出方法: (新規獲得費用合計 ÷ 新規獲得顧問先数)測定頻度: 月次

顧客継続率

重要度:

顧客管理

既存の顧問先が継続して契約している割合。顧客満足度の高さを示す指標であり、安定した収益を確保する上で最も重要なKPIの一つです。定期的な面談や情報提供で関係を強化します。

業界平均
90%以上
目標値
95%以上
%
算出方法: ((期首顧問先数 - 解約顧問先数) ÷ 期首顧問先数)× 100測定頻度: 月次

一人あたり生産性(年額)

重要度:

オペレーション改善

事務所に所属する所長・スタッフ1人あたりが年間で生み出す売上高。高付加価値業務へのシフト、ITツールの活用、業務フローの効率化が生産性向上に直結します。

業界平均
800万〜1,500万円/年
目標値
1,000万円以上/年
算出方法: 年間総売上 ÷ (所長数+スタッフ数)測定頻度: 月次

法人税申告書作成単価

重要度:

売上向上

法人税申告書作成1件あたりの平均報酬。企業の規模や業種、税務調整の複雑性によって適切な単価を設定し、適正な報酬を得ることが重要です。

業界平均
100,000〜300,000円
目標値
150,000円以上
算出方法: 法人税申告書作成報酬合計 ÷ 作成件数測定頻度: 月次

所得税申告書作成単価

重要度:

売上向上

所得税申告書作成1件あたりの平均報酬。個人事業主や不動産所得、譲渡所得など、内容の複雑性に応じた適切な料金設定ができているかを確認します。

業界平均
50,000〜200,000円
目標値
70,000円以上
算出方法: 所得税申告書作成報酬合計 ÷ 作成件数測定頻度: 月次

相続税申告書作成単価

重要度:

売上向上

相続税申告書作成1件あたりの平均報酬。高度な専門性と多岐にわたる資料収集、評価業務が必要なため、専門性に見合った高単価を維持することが重要です。

業界平均
300,000〜1,000,000円(遺産総額による)
目標値
500,000円以上
算出方法: 相続税申告書作成報酬合計 ÷ 作成件数測定頻度: 月次

営業利益率

重要度:

コスト削減

売上高に占める営業利益の割合。事務所の全体的な収益性を示す指標であり、コスト管理と売上向上施策のバランスを見る上で不可欠です。

業界平均
20〜40%(1人事務所は高め)
目標値
30%以上
%
算出方法: (営業利益 ÷ 総売上)× 100測定頻度: 月次

人件費率

重要度:

コスト削減

総売上に対する人件費(スタッフ給与・賞与、福利厚生費など)の割合。スタッフを雇用している事務所の場合、適切な人員配置と生産性維持のバランスが重要です。

業界平均
25〜45%
目標値
30%以下
%
算出方法: (人件費合計 ÷ 総売上)× 100測定頻度: 月次

ソフトウェア・ツール費率

重要度:

コスト削減

総売上に対する会計・税務申告ソフト、顧客管理システム(CRM)などの費用割合。効率化のためのIT投資は必要ですが、費用対効果を定期的に見直すことが肝要です。

業界平均
3〜7%
目標値
5%以下
%
算出方法: (ソフトウェア・ツール費合計 ÷ 総売上)× 100測定頻度: 月次

税務調査立会件数

重要度:

メニュー・サービス改定

年間で対応した税務調査の立会件数。税務調査対応は顧問先からの信頼を得る重要な機会であり、高度な専門性をアピールできる高付加価値業務です。

業界平均
5〜10件/年(顧問先数による)
目標値
7件以上/年
算出方法: 税務調査対応件数合計測定頻度: 月次

コンサルティング業務売上比率

重要度:

メニュー・サービス改定

創業支援、資金調達支援、事業承継・M&A税務コンサルティングなど、税務申告以外の高付加価値コンサルティング業務が総売上に占める割合。事務所の差別化と収益性向上の鍵となります。

業界平均
10〜20%
目標値
30%以上
%
算出方法: (コンサルティング業務売上 ÷ 総売上)× 100測定頻度: 月次

危険信号

顧問先数: 目標値から10%以上減少

新規顧客獲得施策の見直し(Web集客、紹介戦略の強化)、既存顧客への満足度調査実施、解約理由の深掘り。

月額顧問料単価: 目標値から15%以上下回る

サービス内容の見直しと高付加価値化(例: 資金調達支援、事業承継コンサルティングの提案)、価格体系の再評価、顧客層の見直し。

記帳代行業務比率: 目標値から10%以上超過

AI会計ソフト(freee会計、マネーフォワードクラウド会計)への移行支援強化、記帳代行業務の自動化推進、顧問先への自計化推奨。

新規顧問先獲得単価(CAC): 目標値から50%以上超過

広告費用の見直しと最適化、WebサイトやブログコンテンツのSEO改善、他士業・金融機関との連携強化、紹介キャンペーンの実施。

顧客継続率: 90%を下回る

定期的な顧客面談の実施と関係強化、顧客からのフィードバック収集とサービス改善、アンケートによる潜在ニーズの把握。

一人あたり生産性: 目標値から20%以上下回る

業務効率化ツールの導入、業務分担の見直し、スタッフへの高付加価値業務研修、繁忙期の業務負荷平準化策の導入。

営業利益率: 20%を下回る

売上高の増加策と同時に、家賃、ソフトウェア費用、広告宣伝費などのコスト構造全体を見直し、無駄を排除。

データソース

日本税理士会連合会のデータ、税理士業界専門コンサルタントによる調査、および独自の市場分析に基づきます。特に、月額顧問料単価、法人税申告書作成単価、記帳代行単価、人件費率、営業利益率、顧客継続率は業界の標準的な数値を参考にしています。